祖母のおしゃれのすべてになってしまったことが悲しかった。それでも祖母は母にあれこれ注文をつけたらしい。色は淡くて冷たいグレー系かブルー。素材は涼しげなものがいい。サイズはゆったりし過ぎていても、きつくてもだめ……。本当にいろいろと細かな好みがあるから難しくって、と言う母と二人で、私は近くのデパートに行った。一階のブティックのウィンドウに、きれいな白の混ざった空色のカシミアのカーディガンをみつけた。「これ、どうかしら」「うーん、色はいいけれど、ちょっときつそうね」母は言い、ニットの売り場に行ってみない?と私を促した。ニット売り場でおばあさんぽいカーディガンを買うのは嫌だった。あえて若い人のブランドの中から、祖母に合う一着を探し出したかった。しかし、いくつか見た店には思うようなものがなく、仕方なく二階の婦人服売り場に行った。そして一着の灰緑色のカーディガンをみつけた。それは艶やかなシルクの糸で編まれ、表面に光沢のあるニットだった。