ホプキンズ訴訟の原告側の第3の証人、リウマチ学の臨床家ベイジーは、結合組織病または結合組織病様症状の患者で豊胸材を入れている女性のほとんどが、豊胸材を取り除いた後に病状か改善したという報告を書いている。ボルトンが召喚した因果関係に関する三人目の証人はフランク・ベイジーで、サウスフロリダ大学医学部のリウマチ学科の学科長だった。リウマチ学は結合組織病を扱う専門分野だ。ベイジーは内科医であるが、結合組織病または結合組織病様症状の患者で豊胸材を入れている女性のほとんどが、豊胸材を取り除いた後に病状が改善したという報告を書いている。医療現場で、専門家のところに、ある一つのタイプの病気をもつ患者が集まってくると、専門家がその病気の頻度や他の症状との関連について誤った印象をもつのは珍しいことではない。対照群と比較もせず、適切な集団サンプリングの技術もなしに結論を急ぐと、のちになってもっと慎重な疫学的分析がなされた時に、そういう論は破綻を来たしやすい。豊胸材が病気の原因かどうかを知るのに、豊富な臨床経験は示唆に富むが、〈コホート研究〉にも〈症例一対照の研究〉にも代わり得るものではない。医学の歴史は、対照群もなく、多くは立証されていない個人的経験に基づく、誤った臨床上の印象の実例で充満している。近代医学における大きな進歩の一つは、個人的な臨床経験を信頼する前に、厳正な研究による裏付けが必要だ、と認識したことだ。ボルトンの証人は誰一人疫学者ではなかった。だが、疫学者こそ豊胸材と結合組織病との関連の可能性について、権威をもって論じることのできる唯一の専門家だ。
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