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派遣先・派遣会社の双方に安全衛生義務がある

工場労働、いわゆる物の製造業務が今回の改正労働者派遣法で初めて解禁された。物の製造といっても幅広いが、各県労働局の指導の範囲は、「物の溶融、鋳造、加工、組み立て、洗浄、塗装、運搬等、物の製造工程にかかわる業務」とされている。「では検品業務はどうなのか?」などという質問が出そうだが、文言化されない業務については、先の運搬等の「等」の中に含まれると解釈してよい。ここでは、物の製造業務の代表的なものを列挙したにすぎない。注目すべきことは、工場労働では労災事故の発生がつきものであるため、派遣先はもとより派遣会社に対しても労働者派遣法で安全衛生義務を課している点にあるだろう。また、ご承知のように、労働者派遣法では、派遣労働者の雇用責任は派遣会社が負うが、彼らの使用責任は派遣先である工場側が負うことになっている。ゆえに、不慮の労災事故が発生して派遣労働者が被害者となれば、その賠償責任を指揮命令者である工場側が負わなければならない。ところで、労働者派遣法が製造業務の派遣を認めたことで、それまでの業務請負という形態と明確に区別しなければならなくなったことは重要なポイントとなる。なぜ、派遣と請負の区分が必要かというと、派遣を認められない業務については、実態は派遣であるのにそれを偽装請負化して業を行なう企業が目立っていたからである。とくに工場労働にそれがみられ、法令によって製造業務が派遣解禁された以上、実態が派遣であれば法律に従って労働者派遣をしてほしい、というのが行政側の意向なのである。「派遣と請負の区分基準」を示した労働省告示37号では、請負の基準として「労務管理の独立性」と「事業経営上の独立性」が必要であるとしている。これらを簡単に説明すると、工場内業務を請け負う場合には、「(1)直接業務の遂行方法等の指示を行なう、(2)直接自らの業務遂行の評価を行なう、(3)請負労働者の就業時刻・休憩・休日・休暇等の指示、管理を自ら行なう、(4)自ら服務規律の設定、指示、管理を行なう、(5)自ら労働者の配は等の決定、変更を行なう」ことである。事業経営上の独立性とは、請負事業とするならば機械設備を所有するか賃借料を支払う、あるいは、請求の算定基礎を出来高払いにしなさい、というものである。これまでの業務請負を法律に従って派遣にスイッチすることは可能だが、通年にわたって製造する業務については派遣期間が当面1年間であるため(2007年3月1日以後は期間制限を3年に延長)、実態とそぐわず、製造にかかわる関係者は対応に苦慮しているのが実情である。