3分間、30分間、3時間で自分を表現できるように練習しておいてください。日本人は自己表現が下手だというのは定説にすらなっています。日本では非常に有名な先生であるのに、外国からの突然の訪問客にたじたじになってしまって、ただ挨拶を交わすだけで終わってしまうというのは、よく目にするシーンです。研究の業績もたくさんあるのに、そのことについて十分に話ができずに、表面的な挨拶を交わすだけという人も少なくありません。これが国際化が叫ばれている日本の現状です。まず3分間で何を表現するかということですが、これは初対面の単なる挨拶にとどめないで、印象的な自己紹介をすることです。3分間というのは思ったよりも長い時間です。実際に自分がどのようなことをしているのか、自分がどういう人間であるのかということを、3分間できちんと伝える訓練をしておいてください。たとえば、ラジオやテレビといったマスメディアでは、3分間くらいのコメントというとけっこう長いですから、3分間で自分の主張をきちんと説明できる訓練ができていると、効果的な会話の切り出しになるはずです。この3分間の自己紹介は、英語を勉強しようとする人ならば、誰にとってもさまざまな場面で必要になってくるはずです。次に30分間の自己表現です。私が定期的に出席している学会では一般演題の発表はこの程度の長さです。20分間が発表で10分が質疑応答といった具合です。学会によっては1人当たりの発表がもっと短い場合もありますが、30分間くらいをめどにして、自分が今やっている仕事、研究、調査について英語で話をする訓練をしておきます。30分間を1単位にして、そのような話題をいくつか組み合わせていけば、1時間でも、2時間の話でも可能になります。これはビジネスマンならば商品に対するプレゼンテーション、家庭の主婦が外国にホームステイする場合ならば日本の文化紹介のスピーチにあたるでしょう。さて、3時間の話です。3時間というのは長めの講演会です。専門家であるならばこの長めの講演を英語でも十分にできるところまで持っていきたいものです。専門分野があるわけですから、たとえば3時間かけて、自分の仕事について相当深く踏み込んで話すことができます。さらに、可能ならば、3日間くらい自分が中心になって特殊な分野についてのワークショップが開けるというところまで持っていければ上出来です。かつてWHOのコンサルタントとしてキリバスに行きました。メンタルヘルスの初歩的な知識から始めて、うつ病、精神分裂病、その症状や治療法について、ひとりで3日間ワークショップを開催したことがあります。余裕があれば、このような練習もしておくとよいでしょう。3分間、30分間、3時間、3日間といった段階で自分の英語の段階に合わせて試みてください。まず最初は3分間です。急に外国からの訪問客が来たときに、3分間で自己紹介します。この段階をまず目指してください。それが十分できるようになったならば、仕事の内容とか、あるいは自分の趣味でもよいと思いますが、関心のある分野について30分間くらいで話ができるようにするのです。このあたりをまず目標にしてみましょう。3時間ですとか3日間の自己表現に関しては、相当専門性が高まってきますので、最初から3日間ぶっ続けで話をしろといっても無理ですから、段階を追っていくことが肝心です。